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ばっちゃん物語

正月礼の宴会で歌っておひねり貰う、唄が大好き

◆◆ ばっちゃん物語  第16話 ≪ばっちゃん子供頃のお話≫ ◆◆

■正月礼の宴会で歌う。おひねり貰う

正月礼(お正月の宴会)大人たち(男たち)の宴会の準備はできました。
朱塗りのお膳にニの膳も並んでいます。

上座には親戚の決められた席順があって、どうするのか
お父ちゃんとお母ちゃんは朝から順序を確認していました。

しばらくして宴会が始まったようです。
勝手はますますす忙しくなって白い割烹着を着たお母ちゃん
おばちゃんたちが早足で応接しています。

1時間もすると、自分たちの出番も始まることをトコちゃんたちは
良く知っているので、時々座敷の方へ行って様子を伺っているのです。

いちばんの目当ては、座敷に行って宴席で歌うとおひねりが貰えることでした。
学校での唱歌は得意だったトコちゃんはよく学校の先生から歌を
褒められることがあり自信がありました。

従姉妹の信子ちゃんと一緒に歌う唄と、一人で歌う唄を準備しています。

1時半を過ぎると急に宴会は賑やかになり子供たちの出番です。
「今日は小さい子から順番に歌います」と上のお姉ちゃんが紹介します。
みんなドキドキしています。

トコちゃんは3番目でひとつ年上の信子ちゃんがその次。

親戚のおじさん達はお酒をいただいていい調子になって、歌が始まるのを待っています。
お酒に酔って話が止まらなくなったおじさんも歌が始まると拍手をしています。

そして歌が終わると皆からおヒネリが2つ、3つ・・6つと足元に飛んでくるのです。
大人たちはおヒネリが平等に届くよう注意を怠りません。

おヒネリが少なくて泣きだす子がいると
せっかくの正月礼が台無しにならないようにと

おヒネリはそれぞれ、みんな想定して準備をしてくるのですが
中には準備を忘れた人いて慌てて居間に行っておヒネリをつくるのでした。

いよいよ、待っていたトコちゃんの番が来ました。
学校で歌うのと違って座敷で歌うのは伴奏もないしドキドキします。
学校で習った唱歌を歌いました。

歌い終わると他の子たちと同じ6つのおヒネリが飛んできました。
一通りみんなが歌い終わり、小休止、宴会が再開しています。
子供たちも居間に下がって遊びを再開します。

しばらくすると、また座敷から「歌い手の皆さん出番だよーっ!」
と声がかかり座敷のステージが再開します。

「さあ出番だっ」とはりきってみんな出ていきます。
今度はトコちゃんはお母ちゃんから習った高峰三枝子の唄を歌います。
従姉妹のお姉ちゃんたちがみんな流行歌を歌うからトコちゃんも覚えてしましました。

高峰三枝子の唄は特に好きでお母ちゃんと一緒に歌うことがあったからなおさらです。
そして、またまたおヒネリを頂いてみんな大喜び
街に連れて行ってもらえる日を楽しみにしています。

街までは歩いて1時間余り掛かりますが、自転車の使えない冬は
歩いて行くしかなったのです。

そして、あわただしい楽しい正月礼の宴席も終わり
囲炉裏の傍で酔いつぶれて寝ている人もいましたが
村の親戚は帰り、おじさん、おばさん達、従姉妹たちは
みんな泊っていくのです。

遠くから来た従姉妹たちと宴席が片付けられた座敷で
一面に布団んを敷いて遅くまで何やら遊ぶのがまた楽しみの一つです。

1泊で帰る家族。2泊する人たち。3泊する人もいます。
お正月は、元家族だった人が一緒に家族に戻る日でもあります。
トコちゃんはこの賑やかで、忙しない家族いっぱいの毎日
がいつまでも続くことを願っていました。

この日の夜は珍しく静かな星空が広がっています。
昼とはうって変わって一気に静まり返ったこの家のしあわせを
見守っているようにさえ見えます。

シジマの中に吸い込まれそうな深いふかい冬の空が広がっています。
ひとすじの流れ星が西から南にながれました。

(続く・・・。)


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