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くだもの歳時記

りんごは樹上完熟でどんな美味しさに

こうとく 蜜入りリンゴ 山形りんご

 

早捥ぎと樹上完熟のねらいとは


もともと、山形りんごは嘗てから「完熟が取り柄」といわれていました。それは、りんごの大産地であるわけでもないので、特にサンふじは12月に完売するために、蜜たっぷりの完熟が狙いになっていました。

 

りんごは早捥ぎすると未熟のため酸味が残り保存性が高まります。また、特殊な方法で劣化のもとになるエチレンガスの発生を抑制。そうすることで、春を過ぎるころまでの保存が可能になります。これは保存性を高めるための栽培方法である「早捥ぎ」栽培方法にも言えることです。

 

他にも大規模な設備をかけてりんごの保管庫内の酸素濃度を下げ呼吸量を抑制することで保存性が著しく高まる方法でもあります。これによってりんごのシャリ感も持続することになります。

 

ひとつだけ、樹上完熟には欠点があります。それは、完熟するほど蜜入りが多い程に日持ちが良くありません。これは蜜入りのある品種、りんご程、この傾向があるので、できるだけお早目のお召し上がりをお勧めします。

 

サンふじ 山形りんご 完熟りんご

サンふじとは無袋栽培のふじ、太陽たっぷり浴びた樹上完熟


 

太陽光たっぷりにぎりぎり迄樹上に


りんごを樹上で完熟させると、豊かな美味しさが生まれます。樹になったまま十分に熟成することで、完熟したりんごは、深い甘みと豊かな果汁が確保できます。

 

樹上で熟成する過程で、果実は太陽光をたっぷりと浴び、葉から栄養を吸収し続けます。その結果、糖度が高まり、酸味とのバランスが絶妙に調和するのです。

 

果実の中心まで染み渡る濃厚な甘さは、まるで太陽の恵みそのもの。みずみずしい果肉は、かみしめるたびに豊かな香りと風味が口いっぱいに広がります。

 

山形県朝日町で確立された「無袋ふじ栽培」=「さんふじ」食味重視の完熟で蜜入りをねらった美味しさの引き立った栽培方法になりました。それまでは袋を被せた栽培方法(有袋栽培)でした。

 

これは味よりも、見た目の綺麗さを重視した栽培方法でした。今でも品種によっては有袋栽培する場合もあります。

 

サンふじ 無袋栽培 ふじリンゴ

サンふじは山形県朝日町で無袋栽培の栽培方法が確立しました。


 

無袋栽培により蜜入りのサンふじ


樹上で完熟させることで、りんごはより多くの水分と糖分を蓄えます。また、果汁が豊富で完熟まで木に残すことで、果汁がたっぷりと詰まったジューシーなりんごになりやすくなります。

 

そして、完熟過程で芳醇な香りと濃厚な味わいが、りんご本来の美味しさが引き出されます。そして、太陽光たっぷりのふじリンゴは無袋ふじ栽培(サンふじ)によって蜜入りが良くなるのです。

 

品種においても違いはありますが、バランスの取れた味とは甘みと酸味のバランスが絶妙になり、より複雑で深みのある味わいを楽しめます。食感は 品種によって違いますが完熟することでサクサクとした食感やみずみずしい食感が生まれます。

 

また、栄養成分の向上も期待できます。樹上で完熟させることで、より多くの栄養分が実に多量に送られ、飽和状態になると蜜が産まれ濃厚な風味となります。樹上熟成して完熟になるほどに蜜入りの可能性は高まります。特に、サンふじ、こうとく、はるか等は完熟させることで、蜜が入りやすくなる品種です。

 

こうとく 山形りんご 蜜入りリンゴ

樹上完熟で収穫するには無袋栽培の特有の降雹リスクがあります。


 

樹上完熟で美味しいりんごの品種は


樹上完熟すると特に美味しくなるりんごの品種がいくつかあります。以下に代表的な品種を紹介します。

 

こうとく: 小玉ながら蜜がたっぷり入り、樹上完熟させると濃厚な味わいになります。

 

シナノスイート: 酸味が穏やかで柔らかな甘みが特徴。樹上完熟させるとさらにジューシーになります。

 

シナノゴールド: 黄金色の品種で、樹上完熟させると酸味と甘みのバランスが絶妙になります。

 

サンふじ: 無袋栽培され、樹上完熟させることで甘み、酸味、歯ごたえ、蜜、果汁のバランスが良くなります。「サンふじ」という商標名です。

 

これらの品種は、樹上完熟させることで蜜入りの可能性が高まり、より濃厚な味わいと香りを楽しむことができます。

 

完熟りんごは、単なる果物ではなく、自然の恵みを凝縮した至福の味わいです。このような贅沢な味わい特別な美味しさです。樹上完熟りんごは、まさに自然が紡ぐ完熟りんごです。

 

シナノゴールド 黄色りんご 山形りんご

シナノゴールドは完熟でも実が締り火持ちも良いリンゴ


 

樹上完熟りんごの生産地のねらい


  • 岩手県:では冷涼な気候と豊かな土壌を活かし、「樹上完熟」の方法でりんごを栽培しています。この方法により、果汁たっぷりで深みのある味わいのりんごが育ちます。

 

  • 栃木県矢板市は標高が低く、降雪や寒波による雹害の心配が少ないため、りんごを完熟するまで樹に付けておくことができます。「樹上完熟」がこの地域のりんごの特徴となっています。

 

  • 福島県は他の産地よりも南に位置し、春が早く冬が遅いという気候を活かして、より長期間りんごを樹上で育成できます。これにより、樹上完熟の福島県産りんごが生産されています。

 

これらの地域では、樹上完熟の方法を用いることで、より濃厚な味わいや豊富な果汁を持つ高品質なりんごを生産しています。樹上完熟で美味しいリンゴができる反面、保存性は落ちるので、冷蔵庫で適正な保存するなどして、お早めにお召し上がりください。

 


▼サンふじ玉廻し、陽の当たらない部分に陽を当てる作業

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