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コメ不足の実相から減反を考える

庄内平野 田植え 鳥海山

令和のコメ騒動から見えてくるもの


米不足、米価格の高騰が止まりません。今年2月以降、政府は数度に分けて備蓄米の放出を行ってきましたが、市場の不足感はいまだ極めて大きく、価格もほとんど下がっていないのが現状です。

政府はこれまで「投機目的による買い占めなど流通に問題が生じているだけで、米の供給は足りている」と「流通悪玉論」を繰り返してきましたが、調査した結果、隠された米は見つからなかったと発表しました。

現在、2024年産米を前倒しで流通させる「先食い状態」が強まっており、さらに2025年産米に関しても、作付けが前年の1.8%しか増えていないことに加えて、作付け前からおコメの売買契約する動きまで広がっています。

 

 

 

お米このまま高騰が止まらない


このままでは、今夏にかけて不足感がより一層高まることが予想されますし、まだまだ米価の高騰は続くでしょう。それでも政府は米が足りていない現実をいまだ認めようとしません。

なぜ政府は頑なに米不足を認めようとしないのか─。これを認めてしまうと、これまでの政府の米政策の誤りを認めることになってしまうからに他なりません。

そもそも令和の米騒動の根本には、1971年から本格的に始まった米の生産を管理する政府の「減反政策」により、日本の米農家が疲弊し十分な米を供給できなくなっている現状があります。

 

お米生産の潜在生産能力が試される


2025年の米の生産量は増加傾向で、需給安定に向けて作付面積も拡大しています。しかし近年の異常気象、とくに猛暑や極端な気温変動は、米の品質低下や収量の不安定化を招いています。気候変動の影響は今後も続くとみられ、農業現場では高温・低温への適応策や品種改良、政府の支援策が急務となっています。

日本のおコメ生産者人口は、長期的に減少傾向が続いています。1955年には農家人口が約3,635万人でしたが、その後一貫して減少し、2020年には約349万人まで落ち込みました。また、総農家数も1955年の約604万戸から2020年には約175万戸へと大幅に減少しています。

特に水稲(おコメ)農家に限ると、1970年には約466万戸あったものが、2020年には約70万戸と、50年間で7割減少しています。このように、おコメ生産者人口は急速に減少しており、同時に高齢化も進行しています。

 

 

減反政策はホントに終わったのか?


2018年の減反政策廃止によって、国が米の生産量を直接コントロールする仕組みと補助金はなくなりましたが、本当になくなったのでしょうか。

 

現場からみると、国から各都道府県へおコメ生産の目標数量が配分され、各都道府県から各市町村に目標数量=「生産の目安」が各個人の生産者に配分されます。これがある限り、減反政策は継続されておりお米の過剰生産を管理する「減反政策」は決して終わっていないことを意味しています。

 

写真は2024年3月に農家に通知された「生産の目安」です。この内容はお米の生産調整=減反政策と内容的には変わりないことです。そして、これが米不足の中、2025年度も継続している現状です。

 

 

米騒動の中、減反政策は続いてる


2018年に国による「生産数量目標」の配分は廃止されましたが、実際には飼料用米や麦などへの転作補助金が拡充され、農協(JA)などが国の決める「適正生産量」を農家に指導する仕組みが残っています。そのため、実質的な生産調整(減反)は今も続いていると指摘されています。

 

これは、過去の強い過剰米政策がいかに国にとって重かったか、重要であったか、長い間、悩み続けることになったことの大きな傷でありトラウマです。過剰米対策と相反する農業振興政策の板挟みの中で未だに解決できないでいる「減反政策の実質的な運用」が続いている象徴的な現状です。

 

そして、これが生産者人口の減少や、生産意欲の衰退を招いているものと思われてなりません。生産者の生産意欲を高めるためにも、複雑な制度を簡素化して消費者にもわかり易い制度が求められます。

 

このようなことから、米の生産量は依然として減少傾向にあり、需給ギリギリの水準に抑えられているため、少しの需給変動で米不足や価格高騰が起きやすい構造になっています。

 

 

猛暑と最近の異常気象の傾向


2023年・2024年の夏は観測史上最高クラスの猛暑となり、「2025年も平年よりかなり高い気温の猛暑が予想されています。2024年の猛暑はエルニーニョ現象の影響が大きく、2025年はラニーニャ現象寄りの海面水温分布となり、引き続き高温傾向が続く見込みです。」と2025年のお天気概況の予報を伝えている。

 

日本では近年、極端な暑さや寒さ、不水害が頻発し、異常気象が恒常化しつつあり、農産物の品質や収穫量に深刻な影響を与えています。

 

異常気象とおコメへの影響も大きな要因です。気候変動による高温、豪雨、干ばつ、台風、害虫被害などが米の生産に大きな影響を与えています。これにより、収穫量の安定が難しくなり、米不足や価格高騰の一因となっています。

 

こうした気候変動リスクに対応するため、猛暑にも耐える耐暑性品種の開発や新たな栽培技術の導入が進められています。

 

 

おコメの収量と品質そして種子まで

気候変動はコメの収量と品質の両方に影響します。二酸化炭素濃度の上昇で光合成が活発になり、バイオマス生成量が増えることで収量が増加することもあります。また、温暖化で北日本の冷害が減ることで増収につながる面も一部可能性はあります。

 

一方で、異常な高温が続くと、開花期の高温で受粉不良が起きて減収の要因となります。特に登熟期の高温は白未熟粒や胴割粒の増加、害虫による斑点米の増加など、品質低下のリスクが高まっています。

 

2023年のような猛暑年には、一等米比率が全国的に大きく低下し、品質面での打撃が顕著でした。2024年も同様に高温障害などによるおコメの減収や品質低下が発生しています。

 

庄内平野では高温障害による被害は2023年に品質の低下がかつてないほどの被害になりました。2024年は品質問題に関して解決したものの収穫量が大きく下がりました。2023年産の種子が2024年に利用されるわけで、その種子の品質の問題が疑問視されています。

 

これは、高温障害による影響が、単年度では終結しないことを意味し、種子の品質低下による生産性の連鎖の問題が課題となっています。

 

 

米不足と減反政策や生産量管理政策


減反政策およびその後の生産量管理政策は、2025年の米不足と密接に関連しています。長年の生産抑制政策により、需給バランスが非常に脆弱になり、ちょっとした不作や需要増で米不足が発生しやすい体制となりました。減反廃止後も何年経っても生産量は回復せず、農家の減少・高齢化という構造的課題も重なり、今回の米不足を招く大きな要因となっています。

 

減反政策の影響は需給ギリギリの構造

減反政策(1970年~2017年)は、米の過剰生産を防ぐために生産量を抑制し、財政支出も毎年3500億円をかけて続けてきました。その結果、日本の米生産は「需要ギリギリの量」に長年調整されてきました。しかし、この構造のもとでは天候不順や需要増などの小さな変動でも、すぐに品薄や価格高騰が起きやすい体制ができあがってしまいました。

 

減反政策廃止後の生産量推移と構造的問題

2018年に減反政策は名目上、廃止され、農家が自由に生産量を決められるようになりましたが、生産量は増加せず、むしろ減少傾向が続いています。そして減反政策の長期的な影響で、農家の高齢化や後継者不足が進行し、農業人口の減少も加速しました。政策廃止後も、米の生産量を増やすインセンティブや新規参入が十分に働かず、供給力が脆弱なままです。減反政策は事実上、続いていることに大きな問題があったことになります。

 

米不足の直接的要因と構造的背景

2025年の米不足は、2024年の猛暑・雨不足による不作、需要増加、買いだめなど複合的な要因が直接的な引き金となりました。しかし、「減反政策で長年需給ギリギリに抑えてきた構造」と、「農家減少による供給力低下」が、こうした一時的なショックを吸収できない大きな背景となっています。そのため、減反政策とその後の生産管理政策が、今回の米不足の根本的なリスク要因になっていると言えます。

 

■田んぼの代掻き 田植え前

 

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