芭蕉と紅花大尽との出会い 奥の細道に入ってみる。松尾芭蕉が奥の細道の旅に出る時期は江戸元禄時代、紅花商人が活躍した最盛期に重なります。お芭蕉も最上川を船で移動しました。元禄二(1689)年旧暦五月十七日、芭蕉は『おくのほそ道』の難所の一つ山刀伐(なたぎり)峠を越えて、尾花沢おばなざわへとたどり着きました。 陸奥から鳴子、山刀伐峠を越え尾花沢に出ます。最上川を船で下り出羽へと出て、これから日本海側の旅が始まる計画になっています。尾花沢には...... 続きを読む
山形日記
北前船は画期的な船上問屋か 北前船(きたまえぶね)は、江戸時代から明治時代にかけて日本海の海運で活躍した、主に買積みの北国廻船(かいせん)の名称です。買積み廻船とは、商品を預かって運送だけをするのではなく、航行する船主自体が商品を直接買い、それを寄港地で直接、売買することで利益を上げる廻船のことを指します。 北前船は、通常大阪から瀬戸内海に入り下関を経て日本海を北上して北海道に至る西廻り航路に従事した...... 続きを読む
最上川の概要と役割から 米沢市の西吾妻山を水源とし、米沢盆地、山形盆地、新庄盆地、庄内平野を通って、酒田から日本海に注ぐ最上川。1つの県のみを流れる川としては日本一の大河です。その流域面積は、山形県の面積の75%を占めており、その流域人口は山形県人口の8割にもなります。 最上川の豊かな流れは、昔から山形県に住む人々の生活と密着しており、母なる川として親しまれてきました。農業用水の利用や漁業の営みはもちろん、交通路としても重要な役割を担っ...... 続きを読む
紅花商人の活躍と由来 最上川流域では、なぜ紅花の大産地が形成されたのでしょうか。気候・土壌が栽培に適していたということもありますが、山形の他に、奥州福島・奥州仙台・奥州三春・西国肥後・尾張・遠江・相模などで生産されていました。 最上紅花は品質が良いとされていたのは、ただ単に気候・土壌が決定的な要因だったというわけではなさそうです。むしろ、最上川の舟運で山形と京都や大阪が深く結びつき、紅花商人たちが活躍したことが、産地を盛...... 続きを読む
紅花はシルクロードから京染 原産地の中近東から、シルクロードを経て、3世紀頃に日本に渡来した紅花は、近畿地方で栄え、次第に全国に広まっていったといわれています。安土、桃山時代から江戸時代にかけて、藍茜、紫根とともに代表的な染料植物として京染めなどに使われてきました。 山形県で紅花の栽培が始まったのは室町時代末期(1550〜1570年頃)と考えられています。江戸時代の中期を境に、最上川流域(出羽最上)で急速に栽培が拡大していきました。...... 続きを読む
最上川の舟運と歴史 最上川舟運の基点も西廻り航路と同様に酒田湊です。酒田から山形の内陸部まで通じる最上川の舟運は新庄、大石田、河北町を通り、米沢までつながっています。しかし、米沢に近づくにつれ川幅も川の深さも減少するので舟運は難しくなります。 江戸時代に河村瑞賢(かわむらずいけん)によって西廻り航路が開かれると、酒田湊(さかたみなと)が全国の海運ルートの中に組み入れられ、内陸の河岸(かし)が河口の湊酒田を通じて全国と結びつくようになりま...... 続きを読む
北前船の働きと由来とは 江戸時代には日本海や北海道の港から江戸や大坂(大阪)へ、米や魚などが船で運ばれていました。船は瀬戸内海をとおって大坂、江戸へ向かう西廻り航路又は、津軽海峡をとおって江戸へ向かう東廻り航路を利用しました。 西廻り航路を走る船を北前船と呼ぶようになりました。なぜ北前船と呼ぶのかについては、北廻り船がなまったという説、北前とは日本海の意味で日本海を走る船だからという説など、諸説あるようです。 ...... 続きを読む
庄内の丸餅は西の文化 山形県ばかりか東北全域では、鏡もち以外は切りもちが一般的なのだが、庄内地方だけは何故か丸餅の文化になっています。調べてみると、丸もち文化が一般に見られるのは関西以西であり、東北では珍しいよう。 なぜ西の文化が庄内地方に?よく言われるのが、最上川舟運が発達していた時代の北前船の影響。江戸の寛文年間、西回り航路が整備されて、最上川流域は京都、大阪と直結し、物資とともに文化の交流がさかんに行われていた証です。 その...... 続きを読む
人気の山形の在来野菜 「在来作物」は、その土地で長年栽培され、人々に親しまれてきた野菜、果樹、穀類などの作物です。 そしてまた、在来作物は長い間私たちの生活を支え、地域独特の文化を継承する一翼を担ってきました。 庄内地方の鶴岡市では、現在確認されているだけで60品種もの在来作物が受け継がれてきました。 遺伝子的多様性をもつ生物資源としてはもちろんのこと、栽培技術や食文化の継承を担う貴重な「生きた文化財」として、次代...... 続きを読む
庄内の野菜と食の文化 山形県西部に位置する庄内地方は日本海沿岸に約35キロと、長さ日本一を誇る砂丘が続き、日本三大砂丘の一つともいわれます。庄内平野のお米を庄内砂丘が暴風雨林で守る形で平坦な平野が続きます。 日本海の海の幸、平野の庄内米、庄内野菜をはじめとする特産の農産物や在来野菜を育んできました。そして、平野を囲む山地の恵みが豊富な食豊かな地域になります。 庄内平野南部の鶴岡市は月山をはじめ山々から広大な庄内...... 続きを読む
庄内藩が育んだ食と農 鶴岡市は城下町としての歴史があります。酒井家の庄内入部の歴史は、3代忠勝の代に信州松代(長野県)より出羽国庄内13万8千石の初代藩主として元和8年(1622)に入部されたことから始まります。幕末には17万石の庄内藩となっています。 藩政期には、荘内藩九代目藩主酒井忠徳が藩校「致道館」を創建し、教育に力を入れたことにより向学の気風が培われました。この気風は、学問や芸術、産業活動を活発にし、稲の品種改良など...... 続きを読む
身体に大切な野菜の役割とは 何気なくいつも通りの普通の食生活の中にあまり感じることのない野菜の存在。気にしていないけれども、何故かたまに野菜食べてないなあと気付くときがあります。 野菜作りのプロが作った野菜。美味しい野菜には大きな力があることを知りました。野菜には栄養学的な側面ばかりでなく精神的な側面もあります。 例えば、よく噛むことを忘れてきたといわれる私たち人間、実はじっくり噛むことで精神的に落ち着きを取り...... 続きを読む
月山高原にんじんの土作り 生産者は月山高原の赤土粘土の特徴を活かすために、より以上に土壌菌を旺盛にしてキメ細かな果肉をゆっくりじっくり育てる工夫をしています。つまり、化学肥料を出来るだけ抑えた土作りが前提条件になります。 木材のくず、食品廃棄物、おから、デントコーンを植えてすき込む、など出来るだけ炭素率の高い資材を利用します。堆肥発酵促進剤ワーコム、内城菌を使った良質の堆肥はそのためにあると云うわけです。 ワー...... 続きを読む
どう考える硝酸態窒素 日本で生産されている野菜、特に葉菜類の硝酸イオン濃度は 比較的高い傾向にあります 人間にとって硝酸イオンは摂取する必要はなく 野菜中の硝酸イオン濃度を低く抑えることは、より安心であることは間違いないのは確かです。 また、硝酸イオンの野菜中への蓄積は肥料の過剰施用・過剰吸収が原因の一つとも考えられていますので これを低くする努力は施肥量の減少につながり 環境負荷低減にも貢献するものと思われてい...... 続きを読む
土壌微生物の多様性とバランス 大腸に棲む細菌を「腸内細菌」といいます。通常ウイルスなどの異物は免疫システムにより体内から排除されるのですが、免疫寛容という仕組みによって排除されないものがあります。この仕組みによって共存を許された細菌のひとつが、腸内細菌なのです。 お話しを野菜の土作りに戻します。土壌には多種多様な微生物が存在し、その数は1グラムの土壌に約100~1000万にもなるといわれています。 そして、土壌...... 続きを読む
野菜の生産性を高めること 健康な野菜と逆行する問題の一つに野菜を成長させるのに必要な成分である窒素の残留があります。これはお天道様を拠り所に野菜栽培するうえで避けては通れない問題です。真剣に取り組めば取り組むほどに生まれてくる野菜栽培に欠かせない問題。一生懸命美味しい野菜を生産しようとするとき起きる日常的な現実問題といえます。 もう一つ、誤解を恐れず申し上げたいのは、野菜の生産は肥料の三要素を中心に窒素肥料なしでは野菜栽培は...... 続きを読む
さくらんぼの霜害は脅威です ここに数年温暖化による現象として晩霜(おそじも)の被害が多発しています。温暖化は作物の生育を早めます。毎年、開花が早まっていくことで霜害に会いやすい状況があります。山形県の果樹地帯はおいしい果物の条件として内陸盆地の温度格差が大きいというものが長所としてありますが、この反対側が遅霜という直接授粉障害をおこす、こわい自然現象になります。 桜(ソメイヨシノ)の開花は4月下旬頃が主になりますが、さくらんぼの開花は、...... 続きを読む
生石 大松家 板そばの由来 大松家の「家伝の板そば」は先代の出身地に縁の深い温海町関川地区で古来より農家につくり伝えられていた「乱切り手打ち蕎麦」を源流として生まれました。 創業は、百五十年の老舗和菓子屋「本家大松家」の主人でもあった先代の蕎麦好きが昂じて五十年前に鶴岡市水沢に開店。爾来、研鑽を重ね、遂に銀座大松家として東京、銀座に出店するまでに至り、山形の「板そば」を全国に発信する先駆けとなりました。 生石(...... 続きを読む
芋煮会 のどかな秋のお花見のような風情 山形の秋の風物詩といえば間違いなく「芋煮会」です。 今年も9月の「日本一の芋煮会フェスティバル」がお天気に恵まれ3万食の芋煮が完売となったようです。 ひと言でいうと「秋のお花見」といった方がわかりやすいかもしれません。そんなイメージで職場の芋煮会、町内、自治会の芋煮会、プライベートの仲間たちと盛上げる芋煮会などです。シーズンになると頻繁ありますから芋煮疲れの方も多いのではというくらいに、それほど山...... 続きを読む
山形県と秋田県の県境にそびえる名峰「鳥海山(2236m)」は国内でも珍しい小氷河が点在したといわれています。 その鳥海山の万年雪、氷河がゆっくりと溶けて山麓のブナの原生林に浸透し、長い年月をかけて幾重もの天然フィルターを通り山麓に湧き出したのが「鳥海山 氷河水」です。 鳥海山の深い山懐に包まれ自然林の豊かな森の恵みが生んだピュアで豊かな山の恵みといえます。 現在、販売されているミネラルウォーターの多くが湧水や鉱泉水ですが、氷河水は氷河の中で長い時間ろ過されていま...... 続きを読む