
庄内砂丘とサツマイモ栽培の特徴
山形県庄内地方の日本海沿岸には、南北約35kmにわたる「庄内砂丘」が広がっています。砂丘地帯は水はけが極めてよく、昼夜の寒暖差も大きいため、サツマイモの栽培に適した条件を備えています。砂地の特性から根が深く張りやすく、でんぷん質が蓄積され、甘みの強い芋が育つのが特徴です。170年続くサツマイモの産地宮野浦で受け継がれてきた栽培の歴史が物語ってきました。
砂丘の地下の豊富な地下水は美味しいサツマイモを作る原動力になり、砂丘独特の環境の特徴は熱い砂の土壌、生産さの熱い情熱そして、冷たい地下水が濃厚で糖度の高い美味しい砂丘サツマイモを育ててくれます。「熱しやすく、冷めやすい」という「温度格差」が特徴といわれる砂丘土壌の特徴です。
300年程前から地域の人々によって植林されてきたクロマツ林に囲まれた砂丘の畑に、紫紅色に輝く「紅はるか」が静かに育ち秋の収穫を待っています。

庄内砂丘のサツマイモ畑で生産者阿部さんに案内いただく
庄内砂丘サツマイモの特徴 完熟度
黄金級の完熟度 砂丘サツマイモ
山形県の日本海に面する庄内地方は10月下旬から北西の季節風が強まり気温が急激に冷え込んできます。砂丘サツマイモの追熟は温暖な鹿児島や千葉と違いこの冷え込みで芋の中の養分の転流が活発になり熟成が進みます。他では3か月かかる追熟が砂丘サツマイモは1か月で類熟、完熟を迎えるのです。そして、荒れ始める日本海の潮風によりその食味にも潮風の風味がかすかに」感じられ、濃厚な味を一層引出してくれます。
気候条件の特徴
砂質の土壌は水はけがよく過湿になりにくいので、通気性が良く、根の伸長が旺盛になりやすい。土の畑と違い、肥料分が流れやすいので余計な養分を吸収せずに生育できる。欠点としては養分が流れやすいので、肥料不足になりやすいため、土壌の養分を保つため有機質肥料や堆肥の施用が欠かせない。
品種
庄内砂丘では、昔から「紅あずま」「紅はるか」など関東系の品種が多く作られてきました。近年は焼き芋人気に合わせ、しっとり甘い系統(シルクスイート、安納芋系統)も導入されています。

長さ約35㎞、幅約2㎞に広がる庄内砂丘は長さ日本一
庄内砂丘と宮野浦とは
日本海沿岸に南北約33~35kmにわたって広がり、日本一長い砂丘といわれています。幅は2₋3㎞で海岸沿いに、強い季節風で砂が暴れ出すのを防ぐためクロマツの防風林が広がります。
また、庄内砂丘は、日本有数の長さを誇る砂丘ですが、強い季節風に悩ませ列付け、作物の被害が大きかったため、江戸時代から飛砂や強い季節風、塩害から農地や町を守るために酒田湊の豪商、本間家や、地域の人々が長年かけて植林が進められ現在も地域産業や暮らしの基盤となっています。
成り立ちは鳥海山や最上川から運ばれた砂が、海流と風の作用で堆積して形成しました。農作物としてサツマイモ栽培や砂丘メロン栽培など、豊富な地下水による灌漑設備の整備により農業利用が盛んなりました。ちなみに「砂丘」というと鳥取砂丘が有名ですが、鳥取砂丘は「面積」では日本最大級で、庄内砂丘は「長さ」で日本一の長さを誇ります。

砂丘の砂の中の畑に美味しいサツマイモが育つ
生産者とさつまいも村について
「サツマイモ村」とは、山形県酒田市宮野浦にある、1857年から続く砂丘地のサツマイモ産地で、そのブランド名です。生産者の阿部さんを中心とした取り組みで、日本にサツマイモを広めたとされる琉球政府の役人儀間真常の子孫が関わっていることや、地域の協力を得て新たな特産品を生み出すなど、さつまいもの復興とブランド化を目指しています。
庄内砂丘で続く宮野浦サツマイモの歴史と伝統を守ります。山形県酒田市宮野浦の砂丘地で、1857年(安政4年)から続く歴史あるサツマイモの産地です。

生産者の阿部さんと奥さんが育てる砂丘サツマイモ
庄内砂丘特有の環境とは
庄内砂丘の豊富な地下水と、日本海からの潮風という独特の環境で育つサツマイモは、砂丘地ならではの甘みと食感が特徴で、古くから「特別な芋」として親しまれています。
復興とブランド化の取り組みとして、生産者数の減少などにより縮小した「宮野浦産さつまいも」の復興を目指し、生産者で村長の阿部さんと琉球から日本にサツマイモを伝えた儀間真常の子孫にあたる奥さんの二人が中心となって地域をあげて活動しています。
「村民」という呼び方は生産者である阿部さんは、サツマイモを買う人を「村民」と呼び、地域と共にブランドを育てていくことを目指しています。

10月の秋晴れの日には収穫が始まります。
https://youtu.be/_BDN5CF6_Yk?si=SWNT2mW2wQfv4Uo1




