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ばっちゃん物語

吹雪がつくる雪の山は子供たちの遊園地でした

◆◆ ばっちゃん物語  第17話 ≪ばっちゃん子供頃のお話≫ ◆◆

■吹雪がつくる雪の山は子供たちの遊園地

この地域には何故かお正月の遊びに羽子板はありませんでした。
それはする場所がないから当然といえば当然。外は雪が積もっているし
吹雪の日もあるので羽子板ができる環境ではないというのが答えになります。

ただ、トコちゃんは当時貴重な雑誌などを見せてもらって「楽しそう、一度やってみたいなあ」
と思っても外の現実を見ると急に想像が萎むのを感じました。

しかし、お正月休みの遊びといえば、どう考えても外の遊びはソリ遊びや
雪で作るかまくら遊びくらいです。

それと村はずれの大きな吹き山(吹きだまりの雪の山)で
ヌガリツボという雪の落とし穴をつくって男の子を落とすのも大好きな遊びでした。
ここは冬になると雪の無い時の神社のような村の子供たちが集まる遊び場になっています。

雪の落とし穴は、スコップを持ってきて深さ1メートルくらいまで掘ります。
頑張ってあんまり掘り過ぎると田んぼの土が出てきます。

直径40センチ位の雪穴を掘って竹、ワラで覆ってその上に雪を被せて出来上り。
そして、回りの足跡や不自然な気配を消さないといけません。

ここが大事なことをトコちゃんは知っています。
だって、同じ遊びで自分が穴に落ちたこともあるからよく分かるのです。

今日も雪の晴れ間を見てお兄ちゃん達と「吹き山」に来ています。
お兄ちゃんたちは一昨日に権太がつくった大きな雪の滑り台が気に入っていたので
ソリ遊びをすることになったので、自分は落とし穴をつくることにしました。

雪穴を深く掘る作業は小学校の低学年には大変なことなのですが体格がいい方だから
トコちゃんには大丈夫できるのです。

でも今日は二つ年上の信子ちゃんにも一緒に手伝ってもらい穴を掘っていきます。

1時間ほどしてけっこういい穴が出来ました。
あとは問題の表面の細工の出来次第、決して不自然な気配を読みとられないことです。

竹や、ワラを取りに家にいったり、戻ったりするうちに御昼近くになってようやく
「ヌガリツボ」という雪の落とし穴が完成です。

あとは誰かを連れてきて落ちてもらおうと思案しているところですが
お昼になって来たので、雪の山で遊んでいる子供たちも少なくなっていき
最後は自分たちしかいなくなってしまいました。

しょうがないのと、ワラぐつも濡れてきたのでお家に昼ごはんを
食べに帰ることにしました。

「権太、落じねがなあー」「金作落じねがなあー」トコちゃんはお昼過ぎて
誰かが雪の山でヌガリツボに落ちてくれることを想像しています。

出来れば自分が見ている前で意地悪なとなりの健造が
落ちてくれたら何より嬉しいのにと思っていました。

お昼ごはんを食べていると急にお天気が悪くなって吹雪いてきました。
囲炉裏に乾かしてあるワラぐつは濡れてまだ乾いていません。

お母ちゃんからは「吹雪さなったから外さ出るなよ」言われてしまいました。
仕方ないので大好きな信子ちゃんと小豆の入ったお手玉で遊ぶことにしました。

従姉妹の信子ちゃんは明日帰ることになっているので
今日はめいっぱい2人で遊ぶことを決めています。

お休みと楽しいことには必ず終わりがあることをトコちゃんは知らされることになります。

いっしょに花札もしたいし、カルタもしたいし双六もして遊びたいと思っています。
もう外の吹き山のヌガリツボのことはすっかり頭にはなくなっていました。

あした信子ちゃんが帰っても明後日もまだまだお休みが続き
そろそろお母ちゃんと街に買い物に行く日も近いことを感じていました。
とにかくこの吹雪が収まってくれることだけを祈りました。

そして、今夜だけは信子ちゃんと座敷で寝ることを
お母ちゃんにお願いして許してもらい大喜びしているのです。

トコちゃんの楽しい、たのしいお正月は一日ずつ時が過ぎていきます。
夜遅くまで起きている2人がようやく寝床についたころには吹雪の雲が途切れて
少しだけ深い夜空が顔を出して、そのまた深いところに星がきれいに輝いています。

続く・・・。


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