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ばっちゃん物語

雪に埋もれたお正月の楽しみ方

◆◆ばっちゃん物語 第14話 ばっちゃん子供の頃のお話し ◆◆

■お正月の楽しみとは

元旦の朝は昨日の吹雪とは違って静かな朝が来ました。
しかし外の積雪はもう40センチくらいになって今年も大雪の気配。

朝からお雑煮の準備で家中活気に満ちて、良い臭いが漂っています。
この土地では元旦のお雑煮は焼いた丸餅のすまし汁。
具はワラビ、こんにゃく、油揚げが定番です。

このあたりの風習では、餅を焼くのは男手と決まっています。
お正月は日ごろ仕事に家事に休む暇のない女性を休める為に男たちが勝手周りの仕事を
担当する特別な日という意味があるようですが。

実際は男が勝手に立つのは「餅あぶり」のまる餅を焼く以外は
「お酒をいただくお正月」として過ごしているのが一般的です。

ですからこの日は朝からはりきってお父ちゃんとお兄ちゃんは囲炉裏で
「餅あぶり」しています。

朝早くから餅あぶりの炭を囲炉裏に用意して準備が出来ると
「かあちゃあーん!餅はなんぼ焼くんだがー」と大声で聞いています。

この家の座敷は上座敷と下座敷があり襖で仕切られています。
その座敷の縁側には欅の板が並べられその上にまる餅が並べられているのです。
2月いっぱい食べる保存食でもあるので、縁側は足の踏み場もありません。

「正月は歳の数だけ餅を食べると良い年になる」という
ホントかウソか判らない風習があって、おじいちゃん、おばあちゃんはただ笑っていますが
トコちゃんは本当だと信じていました。

トコちゃんには自信がありました。自分の歳以上は絶対食べられると。
3つ歳上のお兄ちゃんに負けないぐらい食べれると自信があったからです
そのお兄ちゃんは身体があまり丈夫な方ではなく癪があって、食も細かったのです。

そんなとき「トコは食べ過ぎに注意だぞー」ってやさしいいちばん上のお兄ちゃんがからかいます。
お盆のときトコちゃんがぼた餅を食べ過ぎてもどして大変だったことを知っているのです。

「俺、今年は、歳より10個多いほんの29個で止めておくぞー」って笑っています。
「ホントはなんぼ食えるんだー」と訊くトコちゃんに「死ぬ気で食えば50個はいぐなー」
と笑って返します。

「ホントかー、すげえーな兄ちゃん」兄ちゃんならきっと50個いや60個も
食えるんじゃないかと本気で思っていました。

お母ちゃんは今年は120個の餅を焼くようにお父ちゃんに言ってあります。
正月は特別の大盤振る舞い、足りなくなったらまた焼けばいいと思っています。
すごい食欲ですから、きっと足らなくなりそうな予感。

朝のお雑煮を食べ終わると、いよいよお年玉がもらえます。
おじいちゃん、おばあちゃん、お父ちゃん、お母ちゃん
そして年長のおにいちゃんからももらいました。

もう夢見心地、部屋に入って中身を確認してすぐに自分の整理箱に仕舞いました。
もう街につれていってもらったら何を買うのかで頭の中がいっぱいでした。

お雑煮が終わってもいつもと違ったお料理が一家の食卓をにぎわして
楽しい楽しいお正月の一日は終わります。

明日は正月礼といって親戚がいっぱい来て宴席を開きます。
従兄弟たちもみんな来てそれぞれに情報交換が楽しみ。
みんな泊っていくから夜も楽しみがいっぱい。

大人たちがお酒を飲んでいる宴席で歌を歌うとおヒネリがもらえるから
何を歌うかも決めました。

トコちゃんは歌が上手、いつも大きな声で元気に自信いっぱい
歌うのでみんなに喜ばれるのです。

明日はお手伝いの合間を縫って従兄弟たちと何して遊ぶかを考え始めています。
そして「明日もお年玉いっぱい貰えたらいいなあ」

「従兄弟の信子ちゃんと遊べますように」
と雲の切れ間の輝くお星さまにお願いしていました。

雲に隠れた満月の明かりが白い雲を照らし出した切れ目からお星さまが覗いていました。

(続く・・・。)


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