雪若丸とは本来こんなお米
かつて、こんなに美しいお米が、あっただろうか。おいしいお米は、粒が美しい。粒が美しいお米が、おいしいごはんになるんだね。あの「つや姫」に、凛々しい弟君の誕生です。
その名も「雪若丸」。雪のように輝く白い粒。ひと粒ひと粒の食べ応えは、まさに新食感。見事な「炊き映え」は、「白いごはん」の極致です。あっさりと上品な味わいはどんなおかずも引き立てて、毎日の日常が、ひと味リッチになることでしょう。
―これは山形県「つや姫」「雪若丸」ブランド戦略推進本部からのメッセージです。
山形県では、県、県内農業関係団体、学識経験者等の参画のもと平成20年2月に設立(H29.7改組)された「山形『つや姫』『雪若丸』ブランド戦略推進本部」を核として、山形県産米のブランド戦略の推進のため、地域一丸となった取組みを進めています。

雪若丸食味チャート図
雪若丸の誕生地はやまがた
山形県農業総合研究センター水田農業研究所。間近に山岳信仰の聖地、出羽三山の1つ羽黒山を望み、お米の新品種開発をはじめ栽培技術や病害虫対策などに取り組む、米どころ山形の中枢です。
開所以来、育成された系統数は130以上、生産販売されて世に出る、いわゆる奨励品種は22品種におよびます。良い米をみんなで作ろう。水田農業研究所は、創設100年。山形の、東北の、そして日本の米づくり文化を守り、新しい挑戦にかける情熱と心意気が強く感じられます。
品種開発は、美味しさと栽培のしやすさ、病害虫への強さ、収穫時期の大きく4点を主眼に行われます。しかも、担い手の減少、熾烈な産地間競争、気候変動、消費者の嗜好の変化など、米づくりを取り巻く環境が激動していくなかで、 10年後を想定した品種設計を行わなければなりません。

山形県の短い春は雪解けとともに農作業が始まる米作り
つや姫の誕生そして弟の「雪若丸」
そうした中で、多くの熱烈なファンを持つ山形県のトップブランド米「つや姫」、その弟君としてこれまでにない新食感の「雪若丸」もこの地で産声を上げました。
また、平成3年に誕生し、(財)日本穀物検定協会の食味ランキングで22年連続特Aを獲得していた「はえぬき」を上回る極良食味品種の開発が求められていました。米の主産地としての威信をかけた米どころ山形の一大プロジェクトでした。
一方の「雪若丸(山形112号)」は、平成15年に交配、育成が始められ、本格デビューは平成30年。全国各地から地域ブランド米が相次いで登場するなか、「つや姫」に続く県オリジナルの新品種として期待を一身に集めています。
特長は、雪のように輝く白い粒。ひと粒ひと粒の食べ応えは、まさに“新食感”。あっさりと上品な味わいはどんなおかずも引き立て、食味ランキングでもデビュー以来特A評価を連続して獲得しています。

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「雪若丸」とは 特徴と魅力
しっかりした粒感と弾力
雪若丸は一粒一粒が大きく、しっかりとした食感が特徴です。炊き上がりは粒立ちがよく、噛みごたえがあり、おにぎりなどにした場合、満足感や満腹感を得やすいお米です。
白さとツヤ
雪のように白く輝くツヤがあり、見た目も美しいお米です。
味のバランス
甘みや粘りは「つや姫」より控えめですが、旨みと甘みのバランスが良く、どんな料理にも合わせやすいのが魅力です。特にカレーや丼物、パエリアなど、味のしっかりした料理と相性抜群です。

雪若丸は食味チャートでも得意のエリアにある
冷めても美味しい
粒がしっかりしているため、おにぎりやお弁当、チャーハンなど冷めても美味しく食べられます。
名前の由来
「雪」は山形の冬や米の白さ・ツヤをイメージ。「若丸」は力強い稲姿や粒の大きさ、男性的な印象から名付けられました。
品種の系譜と生育特性
「山形80号」と「山形90号」を掛け合わせて開発され、10年の歳月をかけて誕生しました。短稈(たんかん)で耐倒伏性が高く、栽培しやすい品種です。また、穂いもち病への抵抗性、耐冷性や高温耐性も備えています。

雪若丸の品種改良の家系図
雪若丸の今後の課題と注目度
「つや姫」と並ぶ山形県のブランド米として人気を二分していますが価格帯は「つや姫」と「はえぬき」の中間程度で、コストパフォーマンスにも優れています。
全体を見たまとめとして、山形県産「雪若丸」は、しっかりとした粒感と白さ・ツヤ、噛みごたえのある新食感が特徴のブランド米です。料理の味を引き立てるサポート役としても優秀で、冷めても美味しいため幅広い料理に活用できます。
山形県の次世代を担う注目の品種「雪若丸(ゆきわかまる)」は、山形県が生んだ新しいブランド米で、2018年秋に本格デビューした品種です。「つや姫」の“弟”として開発され、山形県産米の次世代を担う存在として注目されています。

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雪若丸とつや姫の違いとは
主な違いのポイントを見てみましょう
食感と粒感
雪若丸は粒が大きく、噛みごたえがしっかりしているのが特徴です。一方、つや姫はもちもち感が強く、口の中でほどけるような柔らかさがあります。
食感
雪若丸はさっぱりとした味わいで、甘みは控えめ。料理の味を引き立てるサポート役として最適です。つや姫は濃厚な甘みと旨みがあり、ご飯そのものを主役として楽しみたい人に向いています。
粘り
雪若丸は粘りが控えめでパラっとした仕上がり。つや姫は粘りが強く、もっちりとした食感が特徴です。
おすすめの食べ方
雪若丸はカレーや丼物、炒飯など、味付けがしっかりした料理と相性が良く、おにぎりやお弁当にも向いています。つや姫はシンプルな和食や白ご飯でそのまま味わうのがおすすめです。

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雪若丸の歴史と由来と特徴
若丸は山形県が約10年の歳月をかけて開発した新しいブランド米です。開発は平成15年(2003年)に山形県農業総合研究センター水田農業試験場で人工交配からスタートし、育成・研究を重ねて平成30年(2018年)産米から本格デビューしました。
親品種は「山形80号」と「山形90号」で、東北産米の優れた特性を受け継いでいます。「つや姫」の“弟分”として位置づけられ、山形県の次世代を担うブランド米として誕生しました。
雪若丸は大粒でしっかりした粒感、噛みごたえのある新食感が特徴です。粘りは控えめで、あっさりとした上品な味わいがあり、さまざまな料理と相性が良いとされています。

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猛暑に強い耐暑性品種として注目
雪若丸は耐暑性の高い品種として注目されて新品種の交配親にもなり、暑さに強い、猛暑の夏にも品質が高く保てる資質を評価されています。実際、2027年にデビューする「ゆきまんてん」は「雪若丸」と「山形122号」を交配して誕生し、耐暑性が高い「はえぬき」の系譜にあたる品種なのです。
栽培面では耐倒伏性や耐冷性、高暑耐性に優れ、山形の気候に適した品種です。雪若丸は、山形県が「つや姫」に続くブランド米として10年以上かけて開発し、2018年に誕生した新しい品種です。雪国山形の白さや力強さを象徴する名前と、しっかりした粒感が特徴で、幅広い料理に合う次世代のお米です。
濃厚な甘みやもちもち食感を求めるなら「つや姫」、さっぱりした味わいとしっかりした粒感を楽しみたいなら「雪若丸」がおすすめです。どちらも山形県を代表する高品質なブランド米ですが、好みや料理によって選ぶのが良いでしょう。
■鳥海山と田植え前作業 代掻き