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くだもの歳時記

さくらんぼの樹にビニール張ってるのなぜ

さくらんぼ雨除けハウス 山形さくらんぼ

さくらんぼ雨除けハウスです


さくらんぼ雨による被害を防ぐための施設です。収穫が近づくとさくらんぼの実は雨にとても弱く、雨に当たると果皮に亀裂が生じ割れて商品価値がなくなります。

 

これを実割れと言いますが、実割れを防止するために昭和46年頃から現在のようなパイプを組み上げた雨除けハウスが開発され、昭和の後半から広く普及し始めました。

 

佐藤錦の場合だと、色付きの始まる5月下旬から6月上旬に、雨除けハウスのビニールかけ作業を一斉に行っています。

 

さくらんぼ雨除けハウス 山形さくらんぼ

雨除けハウスが架けられたさくらんぼ産地、東根市の様子


さくらんぼに屋根を架ける


雨に弱いサクランボのためにさくらんぼの生産農家はある工夫をしました。さくらんぼを雨から守り、完熟で収穫するために「サクランボの樹に傘のように屋根を架けよう」そうすれば雨が降っても大丈夫だと。

 

最初は専用の資材やビニールが無かったので、木の竿や、竹の竿を組んでそこに、油紙や防水のシートを架けたりしたようです。とても信じがたい努力です。

 

何度も何度も失敗を繰り返し、だんだん情報が収集され木や竹からハウスのパイプが生まれ、油紙、防水シートがビニール、ビニールがポリエチレンになり10年以上の歳月が流れる中で現在の雨除けハウスの完成を見ました。生産者が苦労に苦労をして創り出した執念の優れものといえます。

雨除けハウス 山形さくらんぼ 東根市

5月下旬頃から雨除けハウスは設置される。梅雨の備えに


 

さくらんぼは博打とまで


まだ、佐藤錦が生まれていない頃です。サクランボ栽培は博打といわれていた時代がありました。物量が整っていないこともあり生食の流通が無かった頃です。主力の品種はナポレオンというあまりおいしくないが、沢山とれる缶詰用の品種といえます。

 

サクランボの収穫は6月の中下旬頃から、ちょうど梅雨の始まりの頃です。雨に濡れたサクランボは実割れして売り物になりません。収穫が終わるまで、雨が無くて全部収穫できれば大当たり。雨が降れば全滅。そのことを指して博打と言っていたのです。

 

雨除けハウス 山形さくらんぼ 東根市

▼山形県農林水産部資料参考


 

佐藤錦でも雨には弱い


缶詰加工用のサクランボは完熟よりもまだ固いサクランボの形が崩れない事が優先していました。加工の工程で人工着色させるわけですから色着きも必要としません。例えば、完熟する前の雨が降らないうち収穫することもできました。しかし、全面積を雨の合間に一度に全部を収穫することは困難でした。

 

それは佐藤錦が誕生しても同じ悩みは続きます。いくら佐藤錦でも雨に濡れると実割れし腐れやすく商品価値はゼロでした。特に佐藤錦は完熟を売り物にした品種、美味しくなるまで完熟を待たないといけません。その間に雨が降らないという保証はないのです。

 

佐藤錦 山形さくらんぼ 東根市

佐藤錦が生食用として人気を集めたのは雨除けハウスの存在が


 

 

佐藤錦の誕生と雨除けハウス


そして、さくらんぼに屋根を架けようという、その発想が具現化して徐々に普及して今ではさくらんぼ栽培には欠かせない施設になりました。通称「雨除けハウス」というサクランボの樹をビニールで覆う施設が一般的に使用するようになりさくらんぼ王国山形の発展を支えています。

 

もうひとつの理由は、サクランボの需要が昭和50年代から缶詰加工から生食用に変わってきました。もちろん佐藤錦という品種が主流になってきたことと、宅配便という新しい物流がタイミング的に合ったことも挙げられます。

 

雨除けハウス 山形さくらんぼ 東根市

雨除けハウスは生産者の高齢化で設置が難しくなる


 

 

佐藤錦の完熟と生食需要が


このような、缶詰加工用から生食用への需要の転換が求められ、品質よりも量とコスト重視だった需要が、この頃から佐藤錦の特徴といえる食味重視の生産が求められるようになってきたのです。

 

一部の生産者は宅配便のおかげで、直接サクランボ販売、産直をおこなう事で顧客と近いポジションでサクランボ生産をするようになっています。

 

生食用のサクランボ、佐藤錦はだんだん美味しさを追求していく段階で完熟の佐藤錦を生産するようになり、その結果、安心して完熟まで樹上で生育できる雨除けハウスが必須の設備となって普及していくことになったのです。

 

雨除けハウスの目的はサクランボの量よりも「完熟と食味」という質をもとめる転換期だったのです。

佐藤錦 山形さくらんぼ ギフトさくらんぼ

さくらんぼは収穫から箱詰めまで手間のかかる作業が続く


 

 

雨除けハウスは先人の知恵


「雨除けハウス」は生産農家の先人の知恵によって生まれた優れモノであることは間違いありません。生食用の完熟さくらんぼ、佐藤錦などはこの施設が無いと品質を高めることはできません。

 

ギフト用のピカピカの高級さくらんぼができるのもこの雨除けハウスのおかげで、樹上で真っ赤な佐藤錦となる完熟まで収穫を待つことができるのです。

 

そして、完熟さくらんぼでしかも、朝採れサクランボというニーズで産地直送することが珍しくなくなってきています。

 

さくらんぼ品種 さくらんぼ品種構成 山形さくらんぼ

山形さくらんぼの品種構成は佐藤錦が群を抜いてトップシェアとなっている


 

雨除けハウスは暑い


やはり初夏の山形で7月まで雨除けハウスを架けることはサクランボにとって暑すぎることは間違いありません。雨除けハウスの上部は間違いなく40℃以上になります。

 

収穫終わり次第、できるだけ速やかにビニールを外してやらないと樹が持ちません。収穫を終えビニールが外された畑は気持ちよさそうに見えます。

 

きっとさくらんぼの樹が喜んでいるはずで、来年に向け新たな活動を活発にしてくれることでしょう。

 

▼さくらんぼの収穫作業の様子

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